計算式から紐解く、生産性を向上させる方法

働き方改革

計算式から紐解く、生産性を向上させる方法

投稿日:2020年3月9日 更新日:

こんにちは、LeeStyles(リースタイルズ)です。

今回は、「計算式から紐解く、生産性を向上させる方法」について、お話していきたいと思います。

最近は働き方改革に対する意識も高まっており、社内でも生産性という言葉を聞くことは増えたのではないでしょうか。

しかし、あなたは仮に後輩や部下から「生産性って何ですか?」と聞かれたら、はっきりと定義を答えられますか?

いざ、定義について聞かれたら、どのように答えればいいか少し迷うかもしれません。また、もしかしたらみんな答えるけど、それぞれ全然違うことを言うかもしれません。

今回は、そのような方向けに改めて生産性とは何なのか、計算式も併せて解説していきたいと思います。

したがって、

  • 「生産性ってよく聞くけど、曖昧な定義でよくわからないなあ。」
  • 「生産性を向上させようって言われても、何から始めればいいんだろう。」

という方には特におススメです。

そして、今回の記事の要点は次の3つです。

  • 生産性には「労働生産性」「資本生産性」など、いくつか種類や考え方がある。
  • 全てに共通しているのは、インプット(投入量)に対してどれだけアウトプット(成果)を生み出したかを表す指標であるということ。
  • 日本の生産性はここ20年近く横ばいであり、他の主要国に大きく遅れをとっている。

それでは1つずつ解説していきます。

生産性とは

生産性とは

まず、生産性とはどのような定義なのか?

生産性は次の計算式でシンプルに表すことが出来ます。

生産性=アウトプット(成果)/インプット(投入量)

つまり、生産性とはインプット(投入量)に対して、どれだけのアウトプット(成果)を生み出せたかを表す指標といえます。

以上が生産性の定義に関する大枠なのですが、この計算式におけるアウトプットやインプットをどのように捉えるかで、生産性の中でもいくつか種類があるので、細かく確認していきます。

生産性の種類

先ほどお話した通り、アウトプットやインプットをどのように捉えるかで、生産性にもいくつか種類が分かれます。

まず、インプットについてですが、インプットを労働として考えるものが「労働生産性」、資本として考えるものが「資本生産性」と呼ばれています。

さらに、これらの労働や資本といった量的なものではなく、技術革新などの質的な要因によるものは「全要素生産性(TFP)」で表されます。TFPに関しては、難しいと思うので、そんな指標も存在するんだなと頭の片隅に置いておいてください。

続いて、アウトプットについてですが、アウトプットを生産量で考えるものが「物的生産性」、付加価値額で考えるものが「付加価値生産性」と呼ばれています。ここでの付加価値額というのは、「売上 - 費用」で求められる利益をイメージしていただければ大丈夫です。

ちなみに、この付加価値額を国全体で考える場合、それを「GDP(国内総生産)」といいます。また、「1人当たりGDP」という言葉がありますが、それはGDPを労働力ではなく人口で割った数になるので注意してください。一応、GDPについてもまとめましたので下の図をご確認ください。

1人当たりGDP=GDP(総付加価値額)/総人口

国際的には物的生産性よりも付加価値生産性を中心として基本的に話が進められているようです。したがって、この記事でも国際基準に合わせて「アウトプット = 付加価値額」として話を進めていきたいと思います。

ここまでを一旦整理すると、例えば投下した労働力に対してどれだけ効率的に利益を生み出すことが出来たかを考える場合は、「付加価値労働生産性」の指標を扱うことになります。

何となくイメージが出来たでしょうか?

続いては、それぞれの生産性がもう少し深堀していきたいと思います。

労働生産性を向上させるには

まずは、労働生産性について解説していきます。

先ほどの話をおさらいすると、労働生産性は以下の通りに表すことが出来ますよね。

労働生産性=付加価値額/労働力

この式からわかることは、労働生産性を高めたいのであれば、

  • 生み出す付加価値額を高める
  • 投下する労働力を減らす

2つの選択肢が考えられるということです。

付加価値額を高めるには

付加価値額=売上×利益率

まず、付加価値額ですが、利益をイメージしていただけると、次のように表せると思います。

つまり、付加価値額を高めるには次の2つが大切です。

  • 売上を拡大させる
  • 利益率を改善する

ここでの「売上を拡大させる」ということは、他社に負けないように商品やサービスの品質を追求していくことや、営業力をもっと強くしていくことによって、どんどん購入者・利用者を増やしていくことですよね。

もう少し考えていくと、組織内の無駄な部門や作業を削ぎ落すことで、売上に直結する業務を従業員に専念させれば、労働力はそのままでも売上を拡大できるかもしれません。

そして、「利益率を改善する」には、もちろん商品やサービスの販売単価をつり上げるという方法もありますし、消費者の気持ちを考えて販売単価を維持しつつも低コストで提供できる体制を整えるといった方法も考えられます。

労働力を削減するには

労働力=労働者数×労働時間

続いて、労働力については、労働者数と労働時間に分解することが出来ます。

したがって、労働力を削減するために考えられる方法は次の2つです。

  • 労働者数を削減する
  • 労働時間を削減する

まず、「労働者数を削減する」とありますが、これは最近の機械化で進んできていますよね。例えば、銀行では各支店の受付人数を減らしていったり、そもそも支店ごと減らしていったりもしています。無駄に多くの従業員を抱えずに、売上の拡大に重要な事業に必要な人数だけ配置していくという思考も大切です。

そして、「労働時間を削減する」については、政府の働き方改革でも非常に推し進められていますよね。各企業で「もっと生産的に働こう!」という動きがあるときには、現在の付加価値額を維持しつつも効率的に働くことでこの労働時間を削減していくというニュアンスが強いなと感じます。

現在の日本は少子高齢化によって労働力不足なわけですから、少ない労働力でも十分な付加価値を生み出していかなければなりません。各企業は核となるメイン事業の売上を、よりコンパクトな労働体制でも維持できるような仕組みづくりを行っていく必要があります。

また、政府による労働時間への取り組みについては、こちらの記事でもまとめていますので、是非ご覧ください。

労働生産性と資本生産性の関係

ここまで、労働生産性について分解して確認してきましたが、実は別の見方で考えることも出来ます。それが下の図です。

労働生産性=総資本/労働力×付加価値額/総資本

この式では、新しく「総資本」を加えることで、2つに分解しています。

労働力に対して、どれだけ資本を抱えているかというのが前者です。後者は資本がどれだけ効果的に付加価値額を生み出しているかというものになります。

そして、この前者のことを「資本装備率」、後者を冒頭で紹介した「資本生産性」と呼ぶことが出来ます。したがって、下のようにスッキリした式で表せます。

労働生産性=資本装備率×資本生産性

実は、労働生産性と資本生産性はこのような関係になっていたんですね。

この式から労働生産性を向上させる方法を改めて考えると、次の2つです。

  • 資本装備率を高める
  • 資本生産性を高める

資本装備率と聞くと難しく感じますが、資本装備率が高い状態を「資本集約的」、資本装備率が低い状態を「労働集約的」と呼べることを考えると、少しイメージがしやすくなるかもしれません。例えば、資本集約的な事業としては土地や建物を数多く抱えている不動産業、労働集約的な事業としては接客がメインとなるサービス業が挙げられます。

資本生産性は先ほどの労働生産性と同じように考えてみてください。どれだけ無駄な設備や管理システムを省いて、売上に直結するものに集中して資本を投下していくかが大切です。「ITツールの利用を開始してみたけど、結局上手く使いこなせずに放置してしまっている。」なんてことはよくある話です。また、企業規模が拡大するほど、導入しているシステムが膨大になっていき、いつの間にか無駄な資本をたくさん抱えた状態になっている、なんてこともあります。

生産性の観点でITツールの活用が気になっている方は、その代表格であるRPAについてこちらの記事で解説していますので、そちらも是非ご覧ください。

生産性向上によるメリット

ここまで、生産性をどのようにしたら向上させられるか、計算式を用いてざっくり解説してきましたが、そもそも生産性が向上することによるメリットって何でしょうか?

そこの目的がわかっていないで、むやみやたらに生産性を追い求めるのは良くないですよね。なので、ここで一旦メリットを軽く押さえておきましょう。

まず、生産性が向上するということは、従業員1人当たりが生み出す付加価値額、つまり利益が増加するということです。そして、企業というものは利益から人件費等を支払っているわけですから、今までよりも多くの人件費を支払う余裕が生まれます。この時に、企業が利益に対してこれまで通りの割合で人件費を支払えば、従業員の給与は増えるわけです。さらに、給与が増えることで従業員の働くことへのモチベーションは向上しますよね。そうすると、以前よりもガツガツ働いてくれるわけですから仕事をこなすスピードは当然に上がっていき、生産性が再び向上します。

つまり、生産性向上によるメリットは好循環が生まれることなのです。この循環をまとめたのが下の図になります。

生産性向上が生み出す好循環

日本の現状

日本の現状

ここまでは生産性とは何なのかについて計算式も併せて解説してきましたが、ここからはその生産性が今の日本ではどのような状況なのかについて、お話していきたいと思います。

今回は、次の4つの視点で日本の現状を考えていきます。

  • 世界との比較
  • 過去との比較
  • 産業別での比較
  • 企業規模別での比較

それでは1つずつ解説していきます。

世界との比較

こちらは主要国との「時間あたり労働生産性」の比較です。

まず前提として、「時間当たり」で計算されたデータというのが重要です。

GDPを就業者数だけで割った「1人当たり労働生産性」というデータも存在するのですが、そのデータではその人がどれだけの時間を働いたかがわかりません。長時間労働を日々行うことで、1人当たり労働生産性については向上させることが出来てしまいます。

ちなみに、1人当たり労働生産性は「1人当たりGDP」とも異なるので注意してください。1人当たりGDPはGDPを人口で割ったものですが、1人当たり労働生産性はGDPを就業者数で割ったものになります。

今回の「時間当たり労働生産性」のデータではその懸念点も考えられ、GDPを就業者数だけでなく、さらに労働時間で割っているのがポイントです。それによって、効率的に仕事を出来ているかをより正確に比較することが出来ます。

では、改めてこのグラフを分析していくと、お分かりの通り、日本の労働生産性は主要国に遅れをとって20位前後でずっと停滞しています。対して、例えば米国はずっと5位近くをキープ出来ていますよね。このような結果になっている背景には、先ほど計算式を用いてお話してきたとおり、様々な要因が絡んでいるということです。

過去との比較

こちらのグラフは日本の労働生産性の推移です。緑色が「1人当たり労働生産性」、青色が「時間当たり労働生産性」になります。

どちらの労働生産性も2000年に入ったあたりから、ずっと横ばいですよね。むしろ、一旦下がり気味になって、最近に再び持ち直した感じさえあります。

このような状況なわけですから、世界ランキングが上がるはずもありません。

産業別での比較

こちらは産業別の「時間当たり労働生産性」とその上昇率の比較になります。

まず、左のグラフを見てみると、不動産業が圧倒的に高いことが分かりますよね。また、電気・ガス・水道に関しても、不動産業には及ばないですが十分に高いです。

これは、先ほどの資本装備率をイメージしてみると、確かにこれらの産業は資本集約的で、土地とか建物とか設備とかをフルに活用していますよね。逆に、労働生産性が低くなっているサービス業に関しては、資本装備率が低くて労働集約的のイメージが強いですよね。

ここで、「だとしても不動産業だけ労働生産性が異常に高いな。」って感じた方も多いと思いますが、それについては統計の取り方にトリックがあるようです。

不動産業のGDPについては、不動産業の事業者が不動産の販売や賃貸の仲介等によって生み出した付加価値に加え、家計が不動産業により受け取った帰属家賃も含まれている。

他方、分母である労働投入量には不動産業の就業者数が充てられるが、その数値には、 帰属家賃の計算において不動産業を営むとみなされる家計は含まれず、事業としての不動産業への就業者数のみがカウントされる。

「不動産業の労働生産性」(参議院)より引用

つまり、副業として大家さんをしている人の稼いだ分は分母のGDPに加えられているのに、分母の就業者数にはカウントされていないというわけです。

続いて、右のグラフについても確認してみると、産業によって労働生産性の上昇率でかなり差がありますよね。例えば、技術革新が起こる場合を考えてみると、その新しいテクノロジーに上手くマッチする産業は爆発的に成長していきますが、上手くマッチしなければそこまで良い影響を受けることは出来ません。同様に、労働生産性に関しても産業ごとに動きが見られると考えてよいでしょう。

企業規模別での比較

企業規模別の時間当たり労働生産性の水準
企業規模別の時間当たり労働生産性の水準
出典:「中小企業の労働生産性」(中小企業庁)

こちらのグラフは企業規模別の「時間当たり労働生産性」です。

グラフをご覧いただくと、もちろん業種によって差が異なりますが、総じて大企業の方が労働生産性が高くなる傾向があるのが分かります。つまり、企業規模によっても、何かしらの要因が計算式の中で働いて、この差を作り出しているということです。

要因の1つとしては資本装備率が考えられそうです。規模が小さい会社であるほど資金繰りに困っており、資本を抱えることは難しいですよね。実際に下の図をご覧いただくと、資本装備率は企業規模に大きく影響を受けていることがわかると思います。

企業規模別の資本装備率の推移(非製造業)
企業規模別の資本装備率の推移(非製造業)
出典:中小企業庁

こちらのデータは非製造業に絞ったものになりますが、企業規模によって資本装備率にかなり差がありますよね。これまでにこの上下関係がひっくり返ったこともないことから、企業規模と資本装備率は強い関係があるといえます。

今のあなたに出来ること

今のあなたに出来ること

いかがでしたでしょうか。

今回は、「計算式から紐解く、生産性を向上させる方法」について、お話してきました。

記事を通して、少しでもあなたの生産性に関する理解が深まったら嬉しいです。

今のあなたに出来ることは、

  • あなたが行っている仕事の生産性を記事を参考に計算式に分解してみる。
  • 計算式の中で、どのポイントに問題があるか、どのポイントを改善していく必要があるか、考えてみる。
  • 改善策について、ITツール導入をはじめとした他社の取り組みも参考にしてみる。

だと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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